2015年9月19日 更新

セブの大人気観光「ジンベイザメ」を守る現地の取り組み

今セブ島で最も盛り上がりを見せている観光地の1つ「ジンベイザメ」が住み着いている最南端エリアの「オスロブ」ですが、そもそもこちらの場所にはジンベイザメが定住していたわけではありませんでした。そんなストーリーを交えながら、オスロブの町がジンベイザメをどのように守っているのかについてご紹介します。



これまでセブ島にある観光地で最も有名だったのはアイランドピクニック・ホッピングと呼ばれる離島を巡りながら美しい海を楽しむものでしたが、近年ジンベイザメが安定してオスロブで見られるようになってからは、こちらを訪れるツアーがアイランドピクニック・ホッピングに迫る勢いで人気を博しています。

 

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ジンベイザメは体が非常に大きい生き物ですが、沢山の人が訪れることでストレスを感じてしまうこともあり、体調を崩してしまうこともあるので現地の方々は一緒に泳ぐ際のルールを明確に定め、観光客に一律に案内するようなシステムを作っています。

そもそもこのオスロブ周辺の海域にはジンベイザメが偶然見られることはあったものの、回遊している魚であるため定住はしていませんでした。現地で漁業を行っていた漁師さんたちがオキアミを撒いて魚を集めたり、余ったエサを海に捨てていたところ、同じオキアミを食べるジンベイザメが何匹か集まってきました。漁師さんたちはその様子を見てジンベイザメ用にオキアミを用意し、餌付けをするようになったそうです。

 

ジンベイザメたちは餌付けをしてくれる漁師さんたちの存在を覚え、段々と海域にジンベイザメの数が増えてきました。数百メートル四方の範囲に数多くのジンベイザメが集まるこの環境は、結果的に世界的にも非常に珍しい場所として注目されるようになり、現在は世界中から沢山の観光客やダイバーが集まり、それに伴って街の観光産業もほとんどゼロの状態から飛躍的な発展を遂げてきました。

現在はジンベイザメを見るために手漕ぎの小舟で少し沖まで出て海に入るだけで、目の前にジンベイサメが何匹も泳ぐような環境が整っており、下の写真のように小さな船が一列になって観光客を案内しています。

 

 

 

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オスロブの街にとって様々な側面で大切な存在になったジンベイザメですが、水族館のように飼育しているわけではなく、あくまでも野生の生き物がエサを食べにきているだけ。そのため一緒に泳ぎたい!と考えている、人間の方でジンベイザメに気を使って迷惑をかけないようにしなければなりません。

現地オスロブではジンベイザメの保護のために様々なルールを作り、観光で訪れた方々に協力してもらうように務めています。ジンベイザメと泳ぐ全ての人は船のチケットや料金を支払う前に、一緒に泳ぐために守るべきルールについて説明を受ける義務を負っていて、椅子に座って説明を聞くことになります。ダイビングでは体からは6メートル、頭部からは5メートル離れることが決まっており、スノーケルの場合は4メートルの距離になるなど、様々な理由で細かく規定が定められています。おおらかな性格の方が多いセブにおいては、こういった詳細な規定を定めて必ず説明するスタイルを取っていることも珍しく、オスロブの方々がいかにジンベイザメを大切にしているのかがよくわかります。

 

 

 

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筆者は先日この場所を訪れた際、説明してくださるオスロブの方の翻訳に入って団体の観光客の方に説明を行いました。現在説明は英語、ビサヤ語、タガログ語の3つで行われおり日本語の対応がありません。日本人の中には英語が全く話せないという方もいらっしゃると思いますが、それでも絵でわかりやすく示してくれているので、すべきことは理解できると思います。ここで、主なルールの中から3つをご紹介します。

1 フラッシュ撮影は禁止

ジンベイザメは世界で一番大きな魚類ですが、非常に繊細な生き物としても知られており、ストレスがかかると最悪の場合死んでしまうこともあります。こういった動物と一緒に過ごす貴重な時間を経験するためには、気遣いがとても大切です。そのためにフラッシュを使った撮影が禁止されており、船上、水中問わず撮影はフラッシュ無しでお願いしています。ただし晴れであればオスロブは非常に強い日光が差し込むので、フラッシュを無理に利用するような場所ではありません。夜に一緒に泳ぐこともないため、このルールはよく守られています。

 

2 飛び込みは禁止

敏感なジンベイザメは人が飛び込むだけでもかなりびっくりしてしまうそうです。そのため、小舟から海にエントリーする際にも足から静かに入ってもらうように説明があります。よくダイバーの方でボートから飛び込むような形でエントリーをする様子をテレビなどで見たことのある方もいらっしゃると思いますが、こういった方法も現地では禁止となっています。また小舟も手漕ぎになっていて、エンジン音でジンベイザメを驚かせないよう、またスクリューで体を傷つけないよう、少し大変であってもオールで頑張って海へ案内してくれます。

 

3 サンオイルなどの化学製品の利用は禁止

特に女性になるかと思いますが日焼け止め、クラゲよけなどの化学製品を体に塗っての遊泳が禁止されています。ジンベイザメの体に小さな傷があり、そこから化学製品が染みこんでしまう場合、またジンベイザメが大きな口でオキアミを飲み込む際に化学製品も飲み込んでしまう場合など、リスクが考えられることは全て避けてもらうようにお願いしています。もし先に塗ってしまった場合にはシャワーを用意しており、そこで洗い流してもらうようにお願いしている徹底ぶりは素晴らしく、一貫性のあるわかりやすい説明だと感じます。

 

 

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どうしてもこういった説明に関しては聞く側が適当に受け流してしまったり、伝える方もどうせ聞いてもらえないだろうと考え、形骸化しがちなものだと思いますが、オスロブでは聞き手も話し手もお互いがしっかりと理解を深めようとする姿が印象的でした。セブに訪れた際にはジンベイザメと泳ぐだけでなく、オスロブが守ってきたジンベイザメとの歴史や現在についても関心を持ってもらえると嬉しく思います!

転載元(筆者執筆記事):セブの大人気観光「ジンベイザメ」を守る現地の取り組み l W.W.J.world – http://wwj.world/

(Taku/倉田拓人)
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Taku Taku